第2章

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「あのさ、龍ちゃん…」 美波くんが何かを言いかけた時、部屋に着信音が響き渡った。 「…美波くんじゃない?電話…」 「あぁ………うん…ちょっと出てくる」 美波くんはスマホを持って、ベランダに出ていった。…さっき、美波くんは何を言おうとしたんだろう?あんな表情、あまり見たことがなかった。 「ごめん龍ちゃん…バイトに欠員出て、行かなきゃならなくなった。1時間後に帰るわ」 「そうなんだ…バイト、忙しいんだね。じゃぁ、早く食べちゃおうか!」 「ごめん、せっかく作ってくれたのに…」 「良いんだよ、プレゼント渡せただけで十分!」 本当は寂しいくせに、大人ぶって余裕なフリをする。自分の弱いところは誰にも見せたくないから、そういう時こそ笑顔になってしまう。 「美波くん、さっき、何を言いかけたの?」 「あぁ、忘れた…なんだっけ?思い出したら言うわ」 「そっか、わかった」 絶対、はぐらかされた…。 結局最後まで思い出せないと言い、美波くんは家を出ていった。 何だろう…何でこんなに切ないんだろう…? 「…行って欲しくなかったな……」 だんだん、僕はこの関係性に満足できなくなっている。我が儘になっていくみたいだ。 この欲求を抑えながらいつも通り美波くんに接する度、1人になると寂しさや切なさ…マイナスな感情に苛まれる日々を過ごして、気付けば夏を迎えていた。
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