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「ちゃんとお話しするのは初めてですよね…安達と言います。よろしくお願いします」
「佐原です…よろしくお願いします」
「先輩の苗字、佐原って言うんですね!」
「なんで田口くんが覚えてないの?」
「いやぁ、ずっと先輩呼びだったんでつい!」
田口くんはその場の雰囲気を良くするためにわざとボケてくれたみたい。そのおかげで僕も安達さんも笑顔になった。
「2人で何かもらってきたらどうっすか!?あっちに美味そうなつまみありましたよ?」
「佐原さん、一緒に行きましょうよ」
「…あ、はい」
…だけど、こうやって必要以上に僕と安達さんの距離を縮めようとしてくる。さすがに2人でいる時間が増えると気疲れをしてしまう…。
「すみません、生ビールをください。あの、安達さんは何を呑みますか?」
「私はカルピスサワーで」
「かしこまいりましたぁ!……あっ、」
店員さんが僕の顔を見て目を丸くする…すぐには誰か気付かなかったけど、良く見ると前に美波くんと一緒にお店から出てきた女の子だと分かった。
「君は、美波くんの同級生の子だよね?」
「…はい。今日は美波、休みなんです」
……美波…呼びすて…。
「うん、昨日聞いたらそう言われたよ」
「……とても綺麗な彼女を連れてきたんですね」
「え、いや、そんなんじゃないよ」
「……………はい、生ビールとカルピスサワーお待たせしました!」
一瞬だけ冷ややかな目で見られた気がしたんだけど、気のせいかな…?安達さんと一緒に田口くんの席に戻ろうとすると、さっきの女の子に呼び止められた。
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