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「あの、お願いがあるんですけど…良いですか?」
「お願い?何かな?」
「美波とあまり関わらないでくれませんか?」
「……………え?」
人が少ない位置に移動させられ、何を言われるかと思ったら…想像もしてなかった言葉にどう返事をしたら良いのか迷っていると彼女が話を続けた。
「美波とあなたは幼馴染みのような関係なのは分かりますが、美波には美波の世界がちゃんとあるのに、いつもあなたの存在が邪魔するんです」
「…邪魔?」
「友達の誘いもあなたと会うために毎回断ったりして、最近友達と馴染めてないんです」
僕に頻繁に会いに来てくれる事が嬉しくて当たり前になっていたけど、心のどこかで心配はしていた…
「この前もクラスの親睦会があったのに来ないって言い出して、バイトに欠員が出たからって嘘付いて無理やり連れ出したんです。そうでもしないとあなたから引き離せないと思って…」
それって、僕が進級祝いをした日の事だ…
僕が誘えばすぐにオッケーを出すから用事がないんだと思っていたけど、もしかしたら今までも周りの誘いを全部断っていた?
「あなたにもあなたの世界があそこにあるでしょ?美波をこれ以上孤立させないように、あなたもいい加減“美波離れ”してください」
この子の言葉が胸にズシンとのしかかる。
美波離れ…子離れ出来ない親のように、僕は無意識に美波くんを縛り付けているの?好きだから会いに来てくれるのが嬉しかった。好きだから一緒にいたいって思った…でもそれは、美波くんの立場を悪くしている原因…
「教えてくれて、ありがとう。これから、気を付けるようにするよ」
「…よろしくお願いします」
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