第2章

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美波くんには、友達とも良い関係を築いて欲しい。高校の友達は、大人になってからも付き合っていける大切な存在になるから。 僕が邪魔をしてはいけないんだ… この日から、僕は美波くんをあらゆる手段を使って避け続けた。連絡が来ても返事をせず、家に来ても居留守を使って…こんな事しても何も解決しない、意味のない事だって分かっているんだけど…恋は盲目って言葉通り、美波くんに対する気持ちが最近大きすぎて周りが見えていない所があったから、少し距離をおいて頭を冷やしたかった。 そんなこんなで1ヶ月が過ぎた頃、珍しく母親から連絡が来た。 『もしもし?あんた何で最近家に寄らないの?』 「ごめん、忙しいんだよ…」 『全く、親不孝者っ!』 「ごめんってば。それで、用件は?」 『今日着であんたに荷物送ってあるから!ちゃんと受け取りなさいよ?』 「荷物?何送ったの?」 『まとめていろいろ入ってる。午前中に着くようにしてあるからもうすぐ着くと思うわ!』 「ふ~ん、分かったよ。今日はずっと家にいるから」 母親から荷物が送られてくるなんて珍しいな。最近全然帰ってないから渡したいものが貯まってたんだろう… ピンポーン… 「あ、はぁい!」 宅配便、もう来たのか。 いつもなら美波くんだと思って警戒するけど、母親の言葉で宅配業者だと思い込んでいたから素直にドアを開けた。 「やっと開けてくれた…」 「みっ、美波…くんっ!!?」 ドアの前には、怒っている表情の美波くんが立っていて、僕の背筋は凍りついた。
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