第2章

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「美波くんは、いつも僕の事を優先してくれるでしょ?でも、そのせいでクラスに馴染めなくなって、友達関係が上手く行ってない…んじゃないかって心配になって…」 「は?何それ?どういう事?」 何となく、同じバイトの女の子に聞いたって事は言いづらくて、あえて伏せて話すことにした。 「僕に会いに来る為に毎回友達の誘いを断ってるんじゃない?それだと友達は良い気はしないでしょ?」 「……………」 「この間の進級祝いの時も親睦会があったのに断ったんでしょ?」 「何で知ってんの?!」 「僕は、美波くんに友達を大切にして欲しいんだよ…時には僕より優先しなきゃならないものが必ずあるんだから、いつまでも僕を1番にして考えないで欲しいんだ」 「……………」 美波くんはコップを手に取ると一気に飲み干して、僕をまっすぐ見つめた。 「龍ちゃんの言いたい事、分かったようで分からない!親睦会の件は、仲良い友達も何人か欠席するから行かなかっただけだし…頻繁に龍ちゃんに会いに来てはいるけど毎日じゃねーじゃん。会いに来てない日は普通に友達と遊んだりしてるし、クラスに馴染めてないって事はないけど…?」 「え?………そう、なの?」 「逆に何でそういう考えに至ったのか謎すぎんだけど…?」 「それは…美波くんが僕を心配させないように嘘ついてるんじゃないの?」 「あのなぁ…どうしてそこまで俺をボッチだと思いたいんだよ…」 美波くんの言い分にまだ納得出来ていない…やっぱり、心配させないように隠しているのかも… 「龍ちゃん、来週の土曜日、文化祭の一般公開の日だから来いよ。直接見れば俺がボッチじゃないかどうかくらい分かるだろ?」 「えっ!!?い、行かないよっ!仕事だし…」 「嘘つけっ!卓上カレンダーに休みって書いてんだろ?」 「…いや…でも……」 「でもじゃねーよ!!俺が嫌なんだよ…勝手に誤解されて避けられんの…」 「………美波くん…」 「だから、ちゃんと自分の目で見て理解してよ。話はそれからだろ…」 1ヶ月も避け続けた罪悪感から、美波くんの悲しそうな表情を見ると断れなくて、分かったと返事をした。 そして、この文化祭で僕たちの関係は大きく動き出すことになる。
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