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第3章
文化祭当日の朝、美波くんから電話があった。
「……はい…もしもしぃ……」
『おはよう、寝てた?』
「………ぅ?……う~ん…」
『今日、絶対来いよ!来なかったらそれこそ絶交だからな!』
「…絶交………ぜ、絶交っ!??」
『分かった?』
「わ、分かったから、恐ろしい事言わないの!」
脅し文句に眠気も一気に覚めた。
午後から自由行動が出来ると言うからそれに合わせて、お昼を避けて13時過ぎに行くと伝えた。
正直、あの子に会った時の事を考えると気が進まない…関わらないでと言ったあの子の表情、本気だった。僕の存在が悪い影響を与えているなら別だけど…、美波くんが友達と仲良くできていて孤立してないなら僕は美波くんと距離をとるつもりはない。
誰かからじゃなく、自分自身で見るんだ。
それが1番の解決方法だ。
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美波くんの高校の文化祭は賑やかで去年も人気だった。今年もたくさんの人が来てるな。
学校に着いたら連絡してと言われたけど、とりあえず美波くんの教室をこっそり覗いてみることにした。美波くんのクラスはコスプレ喫茶をするらしい。
教室の前に着くと、廊下まで人がいて賑わっていた。
「もう良いだろ?早く着替えさせろよ!」
「待って一緒に写真撮りたいから!」
「昨日撮っただろ?早くしないと龍ちゃん来るかもしれないじゃんっ!」
廊下から覗くと友達に囲まれた、幼稚園児の格好をした美波くんがいた。
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