第1章

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美波くんは鞄から綺麗に包装された箱を取り出して僕の前に差し出した。 「26歳の誕生日、おめでとう」 「………ぁ、そっか…昨日、誕生日だったのか」 忙しすぎて忘れてた。毎年美波くんはケーキを買ってお祝いしてくれるけど、こういう形に残るものをプレゼントされたのは初めてだ。 「これ、高そうだよ?なんか恐縮しちゃうな」 「龍ちゃんには言ってなかったけど、俺バイト始めた。それはバイト代で買ったの。龍ちゃんも初任給でおばさんにプレゼント買ってただろ?それと一緒だから気にすんな」 「ははっ、ありがとう。開けても良い?」 「早く開けてみて」 包装紙を破れないように丁寧に開けていると、痺れを切らした美波くんがビリビリに破いて一瞬で開けてくれた。 「これ、マフラー?お洒落だね!」 「巻いてみて、早く!」 「急かさないでよ…………ほら、どうかな?」 肌触りが柔らかでとても暖かい。少し照れながら美波くんの方を見ると、満足そうな顔で微笑んでいた。 「うん、似合う…写真撮ってやるよ」 「えっ!?何で写真!?」 「良いから!ほら、撮るぞ」 美波くんと肩を並べて写真を撮ったのはいつ以来だろう?撮った写真を見ると、大人っぽくなった美波くんと嬉しさが顔に出過ぎてる僕が写っていた…なんか、恥ずかしい。 「美波くん、ありがとう!大切に使うよ」 「毎日つけて会社行って」 「もちろんだよ!」
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