第3章

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「龍ちゃん、今日泊まっていって良い?」 「ちゃんとおばさんに許可もらうなら構わないよ」 「よっしゃ!待って、今電話するから」 美波くんは、感情がすぐに顔に出る。怒ってる時や悲しい時は神妙な顔、今みたいに目をキラキラさせている時は嬉しい時だってすぐ分かる。その顔をみて、僕も自然と笑顔になる。 「龍ちゃん、泊まって良いって!今日俺が飯作るよ」 「良いの?」 「何か食いたいものある?」 「何が良いかな?…冷蔵庫の中身何もないから、今から一緒にスーパーに買いに行こうか」 「おう!じゃぁ、買い物しながら決めよーぜ!」 そういえば、僕が一人暮らししてから美波くんと食材買いに行くのって初めてかもしれないな。 美波くんがカートを引いてくれて、僕が隣を歩く。なんか、夫婦のような光景に微笑ましく思える。 「何かさっきからニヤニヤしてんの?」 「に、ニヤニヤとか言わないで…」 「変な龍ちゃん」 変とか言いながら美波くんも口元が緩んでる。 「あ、デザートとか飲み物買って良い?」 「そうだね、色々買っておこう。ついでにお酒も良いかな?」 「良いけど、呑みすぎんなよ?」 「それは気を付けるから大丈夫だよ」 今日の夕飯はハンバーグを作ってくれる事になった。美波くんは自分が作るって言ってたけど2人で作った方が楽しそうだから手伝うことにした。 ビールを呑みながら作っていると、「龍ちゃんの意外な一面を見た気がする」と言われて、もしかしたら僕の知らない美波くんの一面がまだあるのかもしれない…と、嬉しくなった。
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