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桜井さんは後ろを振り向き美波くんといろいろ話している。…バイト先も同じなんだ、仲が良くてもおかしくない。
おかしくないけど、チラチラと僕の方を見て様子を伺っているあたりタチが悪い。少しでも表情を変えたら彼女の思うつぼだ。嫌がってる僕を見て優位に立ったと思いかねない。
正直、映画が始まっても内容が入ってこなかった。僕はどうして美波くんの事になるとこんなにも心が乱れるんだろう…
僕の手を強く握りしめて、怖がっている美波くんが可愛い。こんな姿の美波くんを桜井さんは知らないでしょ?桜井さんが見たことない美波くんを僕はたくさん知ってるんだ…だから、僕たちの邪魔だけはしないで欲しい…
「やべ…怖かった…!」
「映画館は迫力が桁違いだね」
「龍ちゃん、全然怖がってなかったじゃん」
「美波くんが僕の代わりに怖がってくれたからかな」
映画が終わる頃には繋いでいた手は赤く痕が付いていた。
「ごっ、ごめん龍ちゃんっ!!つい…」
「もう痛くないから大丈夫だよ」
「やっぱり美波はホラー苦手なんじゃん!」
映画の感想を話しながらショッピングモールを歩いていると、僕たちの後ろを当たり前のようについてくる桜井さん達…
「なんっでお前らついてくんだよ!?」
「え?別に良くない?」
「良くねーよ!早く帰れよ」
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