第1章

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初めてのバイト代で買った初めてのプレゼントが、僕と付き合えるようにと言う気持ちを込めて選ばれたものだとしたら凄く嬉しい。 だけど…長い間ずっと一緒にいて、美波くんが僕の事を好きなんじゃないかって勘違いする言動は全く感じられなかった。 『美波くん、重いから寄っ掛からないで』 『良いじゃんかぁ!龍ちゃんの背中丁度良いし』 『あのね、パソコンが打ちづらいから。仕事が進まないよ』 『…じゃぁ、膝枕』 『それこそ仕事出来ないからダメだよ…』 『っんだよ…ケチッ』 ……とか、 『龍ちゃんが作る塩バター味の肉じゃが、凄い美味いよね』 『本当?ありがとう!』 『毎日食べたい』 『毎日は飽きるよ?』 『そうじゃなくて、毎日食べたいって事は、毎日一緒に居たいって意味だから』 『美波くんと毎日一緒に居るのは飽きないね!』 『じゃぁ、毎日会いに来る!』 ……とか、 『龍ちゃん、最近仕事ばっかりで全然俺に構ってくれないよね?』 『ごめんね…今が1番忙しい時期なんだ』 『そっか。分かった』 ……って不機嫌そうだったのに後日、夕飯とお弁当を僕の為に一生懸命作ってくれたり。 美波くんは僕に優しかったり甘えてくれるけど…それは小さい頃から変わらない行動で、それが当たり前だった。きっと今も特別な意味なんてないんだろう。 だけどプレゼントしてくれた事が嬉しいから、僕は大切に使うよ。
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