地図の果てから憂いを込めて

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「カッコいい散り様ってどんなのですか?」  欠伸を噛み殺した以上、おそらく興味が無いであろうことは魔王にも容易に想像できたが、せっかく聞いてくれたので魔王は答える。 「そうだな……仁王立ちで往生するとか……こ、こいつ……立ったまま死んでやがる……とか憧れるよね」 「他には?」 「あとはそうだな……爆死とか派手でいいよね。できれば空中で爆発四散したい」 「……やっぱり死にたいんじゃないですか」 「いや、そうは言わないけどさ……」  決して死にたくはないのだけれど、魔王としての本懐は遂げたい、という矛盾を孕んだやるせない思いが中々伝わらず、魔王はもどかしく思った。 「まぁつまり早く勇者が来てくれないと魔王っぽいことができないので寂しい、ということですか?」 「そう、それ。でも、そんなに勇者って現れないものなの?」  魔王は秘書に尋ねた。 「いえ、結構現れてるみたいですよ。年に5、6人くらい」  結構な頻度で湧いていたことに魔王は少し驚く。 「え、そうなの? じゃあ何で1人もここに来ないのさ?」 「ここに辿り着く前に、皆ボコボコにされて帰っちゃうみたいですよ」 「えぇ……何でそういう酷いことをするかな……信じられない。誰? そんなことする奴」  魔王は魔物達の野蛮さに嫌気が差した。
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