地図の果てから憂いを込めて

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「ほら、魔王様の部下の四天王の1人に、ヤバい奴いるじゃないですか。あの筋肉ムキムキで3メートルくらいのデカい奴。勇者が湧いたと聞くと、いの一番にあいつが駆けつけてボコボコにするらしいですよ」  陰口のような流れになると、急に秘書が饒舌になった。 「えぇ……あいつ四天王の中で最強の奴でしょ……ダメだよ、最初に出ていっちゃ」 「あいつ、戦闘狂のヤバい奴ですからね。『血が俺を求めてるんだ』とか言っちゃってますよ、気持ち悪い。『グヘヘヘ』とか言って笑いますし。『グヘヘヘ』ですよ? いるんですね、そんな笑い方する奴。いや絶対わざと言ってますよ、普通に笑ったらそんな声出ませんもの、気持ち悪い。キャラ作りに必死過ぎて気持ち悪いですし、頭おかしいですよ、あいつ」  秘書の悪口が止まらない。もしかしたら2人の間に何かあったのかもしれないが、おそらくは秘書の口が悪いだけな気もする。そう思うと、一体僕は陰で何と言われているんだろう、と魔王は戦々恐々となった。 「でも仮にも勇者を名乗るなら、四天王くらいは倒してほしい」  魔王は気を取り直して勇者を応援した。 「でも、あいつ、3メートルですよ。無理でしょ、普通に考えたら人間には。そりゃボコボコにされますよ」 「まぁ、そうだよね……結局デカい奴が強いよね」  魔王は諦めるしかなかった。普通に考えれば、やっぱり人間では3メートルには勝てない。仮に自分の前に3メートルのマッチョが現れたら、恐れおののくかもしれない。1.7メートルの魔王は想像しただけで身震いした。
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