scapegoat

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「オレと付き合ってよ」 そう言われて、きょとんとした彼女は、数秒後には、肩までの黒髪を揺らして笑い出した。 「なぁるほど。そう言うことね。間宮君って案外、分かりやすいのね」 「オレの何が分かりやすいって言いたいの?」 「だって、私の名前も覚えてないでしょ?間宮君は」 その時、初めて、凌は彼女の顔をはっきりと見た。 正直言って、真紘の気を引くような女の顔なんて、見たくもないのが凌の本音だった。 「間宮君にとって、私は、真紘くんがノートを借りた女子。って、だけの存在でしょ。あれ?図星?やっぱり、分かりやすいなぁ。そんなんじゃぁ、取られちゃうよ」 「何が言いたい?」 凌の端整な顔に険が走る。 それを恐れもしないで彼女は言った。 「好きなの」
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