scapegoat

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「もしもし、真紘くん。連絡が遅くなってごめんなさい。うん。さっきまで間宮くんと一緒だった。大丈夫、間宮くんは気が付いてないわ……それは分かってる……約束は必ず守るから……」 通話を終えた真紘はスマホをベットに放り出すと、続けて自分もシーツに身を投げた。 彼女から借りたノートの隅に手描きのイラストを見つけた時、真紘の中で計画は始まった。 「絵が上手いんだね」 「えっ」 「大丈夫、凌に言ったりしないよ。その代わり……」 だって仕方なかったのだ。 もう真紘は耐えられなかったのだから。 真紘に関心を持った相手に凌が近づいていくことに。 凌が他の誰かといることに。 彼女が凌に本心をを明かさない限り凌が彼女を捨てることはないだろう。そして彼女は決して真実を打ち明けたりしない。 それが凌の側に留まり続けられる唯一の方法だから。 「真紘は誰が好き?」 その甘い誘惑に真紘が屈したことは一度もなかった。 「大好きだよ、凌。だから、凌はずっと俺だけを追いかけていて」 彼女はスケープゴート。 凌を永遠に真紘に縛りつけておく為の。 ーーscapegoat
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