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「ひとりで行けばいい。俺は飲む」
「それじゃ……話の続きはここでするほかねぇな」
別に構わない、そう顔に書いてある。高坂のことだからお構いなしに話をするだろう。
「わかった」
困るのは花村だけ。しかたがないので立ち上がり、未だつかまれている手を払って席を立った。向かった先はトイレだ。
「トイレに連れ込むとか、厭らしいなお前」
「な、話をするだけだ」
ツンと顔をそむけると、クツクツと相手が笑う。
「会社ではクールでつれない癖に、ベッドの上ではすげぇ甘えてきてくるよな」
「くっ」
あの時の自分はどうかしていたのだ。
男の、しかもライバル視している相手に抱かれて、嫌だと思うところかもっとして欲しいと求めてしまった。
「男ならわかるだろう。ああされたら抗えないと」
「嫌な相手なら俺は殴ってでも拒否をする」
拒否をしたところで果たして高坂が手をひくだろうか。
「お前は拒否をしてもやめないだろう?」
「まぁ、な」
好きとか嫌いとかなど関係ないのだ。互いに性欲を発散させたかっただけだろう。
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