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おまけ
※視点は高坂になります。前のページの続き
花村のことは一目置いていた。
冷静に物事を判断し、先輩に対しても間違っていればはっきりと物を言う。
それは時に妬まれる要因となることもある。だが、あこがれを持つ者もいた。
気にくわない、言い訳ばかりの先輩や上司を論破しやりこめるのを見るとスカッとする。
もしも花村に大して何かしようものなら助けたい、そう思うくらいに高坂は彼が好きだがどうも好かれてはいないようだ。
それでもライバルでいる限り、相手は自分を意識してくれる。
居酒屋を出た後、花村と共に家へと帰る。彼を連れてきたのは二度目だ。
「またここにくることになろうとは」
嫌だということを隠そうともしない。素直な奴だなと彼の腰へと腕を回して抱き寄せた。
「続きをするぞ」
「俺達には必要のない行為だ」
冷たく言い放ち、両腕で胸を押される。
「でもよ、愛を確かめ合うには大事な行為だろ?」
「愛、だと!?」
眉間にしわが寄る。なんて嫌そうな顔をするのだろう。だが、クールな表情を浮かべる花村よりこちらのほうがいい。
「何を馬鹿なことを」
「俺は本気だ。もっといろんな姿を見てみたくてちょっかいをかけていたんだし」
意識してもらうには多少の強引さが必要。好かれる方が嬉しいが嫌われたって花村の頭の中に居続けることができる。
だが、目の前の表情を見る限り、どうやら自分の考えは間違っていたようだ。
「なんだ、まんざらでもなさそうだな」
真っ赤に染まった頬を指でつっつくと、その手をおもいきり払われた。
「触るな、お前は、同期でライバル、それだけだろう」
「その言葉は聞きあきた。もう、お前は黙っとけ」
それ以上は言わせない。唇をキスでふさいでシャツの中へ手を差し込んだ。
「ん、んんっ」
やめろ、そういいたいのだろうが余計なことを考えないように舌を動かす。
それでも抵抗するように引き離そうと体を押すので、唇を離してその体を抱き上げた。
「あっ」
「俺が勝っているのは営業だけじゃねよ」
花村の耳元に唇を寄せ、
「男としても俺の方が勝っている」
と口角を上げた。
その瞬間、悔しそうな表情を浮かべ、きつくにらみつけた。
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