学校帰りの買い出し②

22/23
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
 「嘘…でしょ…」  ものすごい音が周囲に響き、地震のような振動が、公園の敷地内を襲う。  的は外していた。  万が一のことがあってはならない。  驚かせるとは言え、怪我をさせようもんならサリエルにシゴキ倒される。  だからかなり離れた位置に焦点を当てていた。  なんなら、5mくらいは離して。  拳を前に突き出すと同時に、迸る魔力。  サンダルの紐がちぎれ、凹む地面。  全身の筋肉が弾むのがわかった。  重心を下げた拍子に空気が動き、草木が蹌踉めく。  ザッ  瞬間的に沸騰する熱。  足元からよじ登ってくるエネルギーが、瞬く間に全身を駆け疾る。  拳の先で解放された魔力は、自分の意識の遥か後方まで滑らかに飛び出していった。  最小の動きの中にわずかな“回転”を加えただけだった。  それがどうだ。  魔力が放たれたと同時に周囲に衝撃波が伝播し、ケンスケたちの足が浮く。  フワッと体ごと持ち上げられた後、尻餅をついていた。  その後だ。  公園の柵が粉々に吹き飛び、その先にある海面が、ミサイルを撃ち込んだように巨大な水飛沫を上げたのは。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!