学校帰りの買い出し①

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 この世界に来てもう13年目だ。  一庶民として生活を送っている度、格式の高い生活とはどんなものかと、夜な夜な想像を膨らませてきた。  しかし実は私は、もう諦めかけているのだ。  元の世界に戻りたい気持ちは当然あるが、元々、この世界で第二の人生を送ることが、私の命を救う唯一の方法なんだろう?  だったら、それに従うしかない。  生活を送ってきたのも、長い時間を過ごしたのも、この世界だ。  実際、帰りたいという気持ちがこうして芽生えているのは、単なる現実逃避でしかない。  学校がめんどくさいと思う日は、ため息混じりに祖国の景色を想像する。  王室のソファで足を伸ばしながら、何も考えず寝転がっていたいと、思うのだ。  そんなものは、生活をする上でなんの役にも立たないのだが。
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