18人が本棚に入れています
本棚に追加
「…くだらない」
それは至極当然な解答だった。
第一印象、隠キャ。
まるで絵に描いたようなガキで、色白のゲーム好きオタク。
今風に言えば、そういう言い方になるのだろうか。
少なくとも私は、「カズ」に対してろくな第一印象を持てなかった。
最初に出会った瞬間に、直感で思ったのだ。
コイツは「やばい」と。
そんな私の感情とは裏腹に、カズは私以上に驚いた表情のまま、奇妙な視線を向けてきた。
なんでカエルと一緒にいるの?と、彼は聞いてきたのだ。
すごく、神妙な面持ちで。
「……えっと……」
私はそれに答えなかった。
答えなかったというよりも、答えを濁したと言った方が正しい。
話すまでもないことだったし、話したところで、所詮は意味のない会話になってしまうと思ったからだ。
小学生になる頃には、世間で言う「常識」を、私はある程度弁えていた。
普通の子供は、カエルと会話はしない。
カエルを連れて歩くなんてこともしない。
年相応の可愛い服を着て、学校に行き、宿題をしたり運動をしたり。
学校では友達を作って、女の子らしい遊びをする。
ランドセルを背負い、登下校の道をみんなと歩いて、日が沈むまでにちゃんと家に帰ること。
カエルとサリエルに教えられたこの「ルール」は、私がこの世界で生きていけるように植え付けられた「知識」だった。
だから下手なことは話せないと思ったのだ。
『私は普通の女の子だ』
と、胸を張って言えるように。
最初のコメントを投稿しよう!