16人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
「…お、お嬢様?」
どうやら、状況が変わってしまったようだな。
話し合いで片をつけるつもりだったが、わからせてやる必要があるらしい。
「なんだよ、話は後でするって…」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
ケンスケが何か言ってるが、関係なかった。
怒りで頭が回っていなかったのだ。
私は魔力を使い、“戦闘モード”に移行した。
「お嬢様!!魔法を使ってはなりません!!!」
カエルが何か言ってるが関係ない。
突き飛ばされるのはまだしも、至福のひと時である「抹茶タイム」を邪魔されたのだけは、どう頑張っても抑えきれない。
「…ちょ、何!?」
公園の木々が風に揺れる。
ケンスケたちの服も同様、バタバタと波打ち始めた。
私の「魔力」は王族きってのものだ。
そんじょそこらの魔物だか魔法使いだとかの「純度」とは比べ物にならないほどの差がある。
魔力の展開によって風や地響きが湧き起こるのは無理もなかった。
その気になれば、町1つ破壊することくらい…
「お嬢様!!」
「わかってるって」
何も子供相手に本気を出そうってわけじゃない。
人を傷つけることは御法度。
それはサリエルから痛いほど言い聞かされてきた。
それがたとえ「悪者」であろうと、例外なしだ。
だがな…
人ってものは、やっていいことと、やっちゃいけないことがある。
それはカエル、お前もわかるだろう?
それにな、ケンスケみたいなタイプは、一度思い知らせてやるくらいが丁度いいんだ。
自分が一番強いと思ってる奴ほど、足元の現実を見た時に思い知る。
「言葉」じゃわからないんだ。
だから——
最初のコメントを投稿しよう!