学校帰りの買い出し①

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 おい、西崎!ちゃんと聞いてるのか!  私の名前は元々、  マリー・テレーズ・セラ12世妃  という長たらしいものだ。  こちらでは  「西崎セラ」  という名義に変更している。  上の空で授業を受けている私を叱りつける先生の声が聞こえた。  「聞いてます」  歴史の先生の名字は上杉であるため、クラスの連中は皆上杉先生のことを「ケンシン」と呼ぶ。  ケンシンは人一倍説教臭く、教室でも一際目立つ私のことを、ガラの悪いヤンキーだといまだに思っている。  入学して、もうすぐ半年を迎えるというのに。  「お前、いつになったら髪の色を黒に染めるんだ」  うるさいぞ、ケンシン。  私を誰だと思っている。  この髪の色は母君譲りのものだ。  私が、由緒正しきブリュッセル王国の次期王妃たる証明なのだ。  ヤンキーなどではない。むしろ、そのもっとも反対側に位置する高貴な人間であることの、証拠なのだぞ?  時代が違えば、王族への不敬罪でその首を落とすことになっていたぞ。
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