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「セラ様、授業中にお菓子を食べてはなりませんぞ」
そんなことはわかっている。
こちらの世界に来てからというもの、サリエルは私の母親代わりになっていた。
しかし身分上は召使いであったから、いまだに、私に対する態度が「母親代わり」とは言えないほどに献身的であった。
が、それではダメだと、カエルは私に対して厳しい接し方をするのだ。
次期王妃には王妃らしい格式の高い教養を身につけなければいけないと、うるさくて困っている。
「カエル、次期王妃とお前は言うが、私は元の世界には帰れないんだろ?」
サリエルはこの世界の書物を漁って、もう一度元の世界に戻れる方法はないか、探し続けてきた。
カエルもそうだ。
学校がない日には、街外れの森に行き、動物たちと会話して、ブリュッセルへと通じる道がないか、訪ね歩いているらしかった。
しかしいつまで経っても成果はなく、それに仮に戻れたとして、私にかけられた呪いが解けたことにはならない。
「生き延びる」というのは、この世界でであって、元の世界に於いてではない。
それ故に、サリエルもカエルも頭を悩ませていた。
カエルは授業中だからと必要以上なことは喋らない。
やれやれ、カエルのくせに真面目ときたものだから、扱いが面倒くさい。
カエルの方は私の面倒を見ているようだが、私ももういい歳なのだから、そろそろ子供扱いするのはやめてくれないだろうか?
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