4と1/2裏通り

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“カランカラン“ 店の扉を開けて、中を覗き込むように上半身から入店すると 「あら、ご新規さん。いらっしゃい」 と、カウンターの中からこの店の店主と思われる女性が手招きをしていた。 俺はカウンター席に座り辺りを見回した。 テーブル席に2組、カウンターの端から2番目に1人の客。意外と人いるじゃんと思っていると、 「こんばんは、はじめまして。このバーを経営してる薫子よ。走ってきたの?疲れてるみたいだし水飲んで」 と、俺の前に水と袋に入ったおしぼりが置かれた。 「あ、どうも。いや、ちょっと通りかかったんで……」 「ふーん、んだ……」 んふふ、と意味深な笑いをした薫子さんは続けて 「はい、ドリンクのメニュー。決まったら言ってちょうだい」 と、メニューを俺に渡した後、端から2番目に座る別客のところに行ってしまった。 今日は飲もう。一瞬でもいいから、最近の出来事を忘れたい。 俺はメニューを見る。二度三度、表裏を繰り返し見る。なんだよこれ……
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