4と1/2裏通り

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「あのー……」 遠慮がちに手を挙げ薫子さんを呼ぶ。 「はーい、決まった?」 「いや、あの、お酒はないんですか?」 「あー、うち、お酒は置いてないの」 と薫子さんは少し申し訳なさそうに微笑んで言った。 「え、でもBARですよね?表にもBARって書いてあったし、BARってでお客さんを楽しませるところなんじゃ?」 薫子さんは少し面倒くさそうに 「んも〜、そんな形にとらわれなくたって…。それに表には書いてたでしょ?BAR って」 はー?と思ったが、これ以上、負の感情で労力を失いたくなかったので 「じゃあ、メロンソーダで……」 と注文をすると、薫子さんは鼻歌を歌いながらメロンソーダを準備し始めた。 目の前に置かれたメロンソーダ。透き通ったグリーンの中の小さい泡が上へ上へとあがっていく。 メロンソーダって、こんなに綺麗だったか? コップを持ちストローを咥えて一口、また一口。 ごくっごくっと喉を鳴らす。 炭酸が体中に染み渡るような感覚。爽快だ。 「お兄さん、いい飲みっぷりですね!」 美味しさに酔いしれていると、急に後ろから声をかけられ我に返った。
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