4と1/2裏通り

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「自分は吉塚(よしづか)宙哉(ちゅうや)。宇宙に行く男でっす!」 「……。」 俺は、ストローをくわえたまま冷めた目で吉塚宙哉と名乗る男を見た。 またか……。宇宙に行くって……。 「吉塚さんは、宇宙飛行士なんですか?」 「ああ、正確には宇宙飛行士候補者かな。宇宙飛行士の選抜試験を受けて最終選考まで残り見事に合格!念願の宇宙飛行士候補者になったのだよ!試験っていっても、そんじょそこらの試験とは違う。書類選考から最終選考まで1年近くかかるんだ。その試験内容は……」 ああ、長くかかりそうだ。吉塚の本当か偽りか分からない話しで一晩終わるんじゃないのか。 「吉塚くんは、うちの常連さんよ。私と吉塚くんは10年以上の仲なのよね〜。フフフ」 と、薫子さんが吉塚が頼んだのであろうコーラを持ってカウンターから顔を出した。 「やだなぁ、ママ。照れるじゃないか」 「最初に来た時は、書類選考の話を一晩中してくれたわね。それからは、何度も1次試験の話を聞かされて……。でも、最終選考と合格の話しは今日が初めてね!」 吉塚は頭を掻きながら少し照れていた。
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