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「わあ!」 突風が、畑を駆けた。 草が舞い、子供の帽子が飛ばされる。 「――っと!」 「ないすきゃっち! パパ、さんきゅー!」 「ありがとうだろ? ゆーあーうえるかむ」 帽子を被せられた子供は、頭をポンポン叩かれ笑っている。 それは不思議な光景だった。 人間とは奇妙な生き物だ。僕には到底理解できない。 "彼"なら、子供が笑っている理由を教えてくれただろうか。 それとも「人間は狂ってやがる。迷惑な話さ。オイラは叩かれても嬉しくないってのに」とグチグチ文句を垂れただろうか。 ……きっと後者だろう。 僕は"彼"の愚痴を聞くのが好きだった。そこには愛が込められていたから。 もっとも、それを知るべきなのは僕ではなかったのだけれど。
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