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「――っ、冷たい」
ハッと意識が浮上した。
どうやら僕は寝ていたらしい。
「水にビックリするなんて、お前変わってるな」
暗闇で声が聞こえた。彼の声だ。
「いたの?」
「いるさ。ここはオイラの縄張りだぞ」
僕の体に、湿った砂粒がかかった。
軽快なザクザク音に合わせてハミングが聞こえる。
彼はご機嫌らしい。
僕はというと、強烈な眠気に襲われていた。
「おいおい、起きたばっかでまた寝るのか?」
「気持ちがよくて……」
「種の本能だな。寝ちまえよ。上で水を撒いてる人間がいなくなったら、オイラも寝てくる」
本能ってなに?
寝てくるって、どこで?
彼に聞きたいことがあるのに、僕の意識は急速に薄れていく。
ザクザク、ザクザク。
音が遠ざかるにつれ、僕は夢に引き寄せられる。
嫌だな。
僕はまだ、彼と話しをしていたいのに。
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