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★時は昭和16年 舞台は東京下町、荒川区尾久(おぐ)
栄依子は11歳 尋常小学校は今年から国民学校に変わり、5年生。
一男四女の真ん中です…★
「栄依子
玄関の前を掃いといておくれ
お父さん、昼には、お帰りだからね」
台所のワカが
茶の間にちょっと顔を出して
妹の登志子の宿題を見ていた栄依子に声を掛けました。
登志子はホッとしました。
栄依子のドヤシから解放されるからです。
「時計の計算」がなかなか理解できない登志子は
どやしつけられれば、どやしつけられるほど
ますます頭に血が上り、わからなくなるのです。
敏夫が教えてくれたときは
感情的にならずに説明してくれるので
落ち着いて聞けて、よく分かったのですが
栄依子に責め立てられると…
判っていたものも判らなくなります。
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