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南條要は剣道部の朝練のために、7時に高校に到着した。
早朝の空気は澄み渡り、登校する生徒もまばらだ。
要はこの時間帯が学校生活の中で一番好きだ。
季節は4月下旬。間もなく誰もが待ち望む、ゴールデンウィークが始まる。
だが、高三で大学受験を控えた要には、勉強一色で連休など無縁だ。
剣道部だとて、夏休みの合宿に三年生は不参加でも許される。
彼の高校は私立の名門進学校として県内でも名高い。そのため、そもそもスポーツにそれほど熱心ではない。
しかし、要自身は剣道が好きだった。
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