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次の日の放課後、僕は皆が帰った後彼女の机にこっそりと手紙を入れた。
僕は手紙にミゾホオヅキの押し花を張り付けておいた。
あのホワイトデーの時と同じように。
花が好きな君が気付くことを願って。
僕はゆっくりと教室を出て、屋上へ向かった。
僕と入れ違いで後ろから誰か教室に入ったようだが、僕はあまり気にも留めなかった。
「ハァ…」
僕は大きなため息をついた。
手にはうっすらと汗が滲んでいた。
明日のことを考えると気が気ではなかった。
彼女は手紙の主が自分だとはきっと気付かない。
けど、あわよくば気付いてほしい。
そんな思いで頭がいっぱいだった。
「君に好きと伝えられたら良いなぁ」
毎日毎日同じことを思う。
けど、そんな気持ちを伝えられる勇気が出ない自分が、毎日嫌で堪らない。
「好きと言えば君はなんと言うかなぁ。」
そんな妄想を考えてしまう自分が不憫に思うこともあった。
「…君に気持ちを伝えられなくても、僕は君が幸せならそれで良いんだけどね」
僕は空に向かってそう呟いた。
ガチャ。
その時、屋上のドアが勢い良く開いた。
振り向くと、息を切らした女性が立っていた。
その手には、手紙が握られていた。
風に乗って、ミゾホオヅキの花の匂いがした。
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