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翌朝、3月30日。
年度末で仕事が忙しいはずなのに有給休暇を取って迎えに来てくれた和宏と朝イチで婚姻届を市役所に提出しに行くことにする。
「おめでとうございます。」
緊張していたのにあっさり受け取ってもらえたから、拍子抜けした。
「ありがとうございます。」
私たちの手には、先日あの店で購入したお揃いのマリッジリングが光っている。
あの店員さんが、嬉しそうに接客してくれたので、「あなたのおかげで彼と話が出来ました。ありがとう。」と伝えると泣きそうな顔で喜んでくれた。
和宏は、エンゲージリングもと考えてくれていたけど、私が断った。
私たちには、あのペアリングがあるから。
そのことを話すと和宏以上に残念そうな顔をしていた店員さんがとても印象的だった。
婚姻届を出して家に戻ると荷物を持って岡山へ出発だ。
「お母さん、おばあちゃん。いままでありがとう。落ち着いた頃に遊びに来てね。」
「瑞稀、身体に気をつけてね。」
「和宏くんに泣かされたら、すぐに言うのよ。その日のうちに乗り込むから。」
「お母さん、大丈夫だよ。それじゃ行くね。」
母たちとは距離は離れても家族だから、会おうと思えばいつでも会える。
でもお義母さんとは…
いつか会えるようになるといいな。
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