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早速、片付けを始めようとダンボールに手をかけた時、和宏の手が重なった。 「何する気?」 「何って、片付けしなきゃ。」 「今日は、入籍して夫婦になった最初の日だよ。瑞稀は新婚初夜に夫を放っておくつもり?」 「片付けなきゃ、ご飯も用意出来ないよね。」 ここに引っ越ししてから和宏は、たぶんベッドで寝るのに必要なものと仕事に来ていく服しか片付けていない。 キッチンには、アパートにいた時に使っていた鍋も食器も出してないから。 それだけ忙しいのに1日休暇を取って私を迎えに来てくれたんだから、片付けくらい私がやらないとね。 「明日は年度末最後の日で仕事でしょ。和宏が仕事している間に片付けするけど、ご飯くらいは私が作りたいの。」 そう言うと食欲が勝ったのか、私の作るご飯を食べたい和宏は、ダンボールを開け始めた。 「キッチンのものだけ出したら、片付けは終わりにして買い物に行こう。」
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