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「えっ、ここ?」
着いたのは駅近く、チャペルが存在感を放つ結婚式場だった。
「写真だけって和くんと考えていたみたいだけど、せっかくだからこういう場所で写真撮った方が雰囲気いいでしょ。」
実里さんがにこにこしながら言ってくるので、和宏の方を見ると優しい顔で頷いている。
どうやら姉弟の中では、話が通っているようだ。
「ほら、瑞稀ちゃんはドレスに着替えて来よう。」
実里さんに引っ張られて控室に着くと既にドレスが用意されていた。
「このドレス…」
「瑞稀ちゃんが◯クシィで見ていたのと似たものを探したんだよ。気に入ってくれるかな?」
Vカットのヨークがデコルテを綺麗に見せてくれてスカートの切り替え部分にチュールがふんだんに使われたドレスは、私が雑誌にいくつか付箋を付けていたうちのひとつによく似ている。
いつから和宏と実里さんは準備してくれていたんだろう。
嬉しくて目尻に涙が溜まってくる。
「ほら、ドレス着る前に泣いてたら、ダメでしょ。」
実里さんに見守られるなか、スタッフに手伝ってもらい支度を済ませると実里さんも着替えてくると部屋を出て行ってしまった。
着替えてくる?
ノック音がして実里さんが戻ってきたと思い振り返ると目の前にいたのは…
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