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「瑞稀ちゃん、悪いんだけど早いけど閉店処理だけ頼んでいい?佳奈が具合悪いらしくてこども園にお迎え行ってくるから。」 真理子さんは5歳の佳奈ちゃんと2人暮らしのシングルマザーだ。 真理子さんに日頃大変お世話になっているから、閉店処理の売り上げ計算や店の片付けくらいなら、私にも出来るからと請け負った。 「早く行ってあげてください。カギはいつものとこに入れて、売り上げは銀行の夜間金庫に入れてきます。」 「ありがとう。ごめんね。」 真理子さんがバタバタと店を出て行くのを見送り、いつものようにキープしておいたセール品のパン一袋を自分用に購入してから、売り上げとレジ内のお金の確認をする。 金額が合っていることにホッとして、時計を見るとまだ17時。 いつもより閉店には早いけど、残っているパンもほぼないからなと思い、電気を消しシャッターを閉めて店を出ようとしたところで、後ろから声がした。 「あれ?今日はもう閉店ですか。」 少し低めの声が聞こえた瞬間、ドキリとした。 『すげーな。初めてなんだろ?お前サイコーだな。』 あの声が、フラッシュバックする。 似ている?でも少し違う? 不安げな顔で振り返ったせいか、申し訳なさそうな男性が立っていた。
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