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恋をしたら……
今よりも世界が明るく見えるようになるし、楽しい気持ちにもなれる。
そんなのウソだ。
片思いでも相手のことを強く意識してないといけなくなる。
それが恋人同士になったら一体どうなる?
起きているときの時間のすべてを相手に奪われてしまうんじゃないか?
恋なんてしたら、窮屈な日々になるだけである。
以上が私の恋愛観だった。
ところが、そんな私に告白しようって相手が現れた。
小田隆道。
去年、高校1年生のときにクラスメイトだった男子だ。
彼とは会話らしい会話をした記憶はなかったけど、1年間もクラスメイトをやっていたのだから、名前と顔は自然と覚えていた。
彼は美形でもなければ秀才でもない。何もかもが普通だ。
私にとっての彼とは、その程度って存在だった。
それなのに「ところが」である。
その程度の相手からいきなり告白されることになるとは驚いた。
まあ、告白してくる人が学校一番の美形だったとしても、私はノーと言うつもりであった。だって、さっき言ったとおり、恋愛なんてしたら、相手のことを一番に考えるべきだとなってしまい、窮屈な日々になってしまうのだとわかっていたから……。
それでも、こんな私だって誰かを好きになったことはあったから、告白しようって相手の気持ちを無視することはできなかった。
恋愛は否定したい。でも、告白されることに少しだけプラスの期待感が今の私にあったのは事実。
私は呼び出された場所に立った。
そこは灯りのない真っ暗な部屋の中だった。
私の背後でバタンと部屋の扉が閉まった。
そしたら部屋の中は完全に暗闇の中となった。
「――!?」
なんだか危険な雰囲気を私は敏感に感じ取ったのだけれど、まあここは学校の中だし、大声で騒げば廊下を通りかかった誰かが部屋の中の異常に気づくだろう。危険ってよりも、一体何が起きようとしているのか?
好奇心が私をその場に留まらせた。
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