2、ご指名ありがとうございます

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 私は口に含んだ物を飲み込んだあと、東京で契約社員で事務職をしていたと言う。  彼女がふーんと興味がなさそうな態度だったので、実は高校時代は土木のバイトをしていたと言うと、彼女は興味をもったようで食いついた。  だが私は土木で働いたことがないので、テレビやネットでみた情報を適当に喋った。事務職も嘘であるが彼女は疑わない。  私はぼろが出る前に彼女に質問を投げかけた。 「高田さんはキャバクラだよね?どんな客がくるの?一緒に人はどんな感じ?」  大体予想はつくが聞いてみる。彼女は自分に貢いでくれる男、物をよくくれる人、ストーカーになった人の話。一緒に働いていた子が家に遊びにきたとき、高田彩華のブランド品を盗んでいった話を楽しそうに話した。 「大変なこともたくさんあるけど、楽なんだよね~。だって座って話して酒飲んでるだけで」お金が入ってくるんだもん!」  高田彩華はもう一本のペットボトルを手にとり一気に飲み干す。  この日私たちは眠くなるまで非現実からさらに現実逃避するように話をした。  主に話すのは彼女だったからか、ベッドに腰かけていた彼女はそままベッドで眠りにつく。私は彼女の足のほうにあるかけ布団を取り眠る。  彼女が社交的で話上手で良かったと思う。 「おはよ~」  高田彩華は眠そうな目をこすり床で寝ている私を見てくる。 「あ~そうだ、ここキューバニじゃないのか……」  残念そうにつぶやく彼女。やっぱり私と違い彼女は戻りたいのだろう。  高田彩華は手鏡で髪を手早く整え外に出る。どこに行くのかと聞くとご飯を調達してくるとのこと。  私も彼女の後を追い外へ出る。日が真上にある。時計という時計が機能してないので、今が何時かはわからない。わかったところでどうでもいい。  彼女はコンビニで酒を買っていた。 「ここも後払いで大丈夫だよね?」  高田彩華は自分に言い聞かせるように言い、次々にカゴに酒を放り込む。  ご飯などはたべないのかと聞くと、お酒でお腹が膨れるからいらないと答えた。  私はこの時も昨日取ったお弁当とお茶のところを見る。またしても置かれている。  ふと気づいたことがあった。賞味期限や消費期限がない。作った日付もない。  時間もわからなければ日付もわからない。  買い物を終えた彼女は店を出て行った。私はおにぎりとサラダを取り彼女のあとをついてベッドのある所へと行く。 「ねぇねぇ、山口さんっていつもそんな感じの服装なの?」  Tシャツにパーカー、ジーパンにスニーカーと色気もなく地味な格好の私を呆れたような目で見てくる。 動きやすさを重視した結果こうなったが、そのことは言わず 「私は高田さんみたいにスタイルがよくなんでも着こなせないし……、自分に似合う服って何かわからないんだよね」  そういうと彼女は明るい表情でじゃああたしが……と言いかけたところっでこの場所にいることを思い出しため息をする。  服屋はあるにはあるがそこは、今私が着ているような服しかなく彼女が楽しそうに選ぶ様子が重い浮かばない。  そのことを彼女に告げると、一応その服屋に行ってみたいと言ったので脇道のほうにあった服屋に連れていく。  店内へ入っていくと彼女は私が言ったことに納得したような呆れに似た表情をした。
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