2、ご指名ありがとうございます

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 その店は女性物だけではなく男性用の服も売っていた。 「ん~……あ、このスカート何てどう?」  高田彩華は膝より少し長いふんわりとしたスカートを手に取り、私にあてがう。一瞬微妙な表情をしたがすぐ笑顔を作りそうかと再度問う。  スカートは嫌いではないが今は動きやすい服装がいいため、彼女の提案をやんわりと断った。  彼女が他を見て回っている間、私は着替えのTシャツとジーパンを手に取りレジに行く。  それらを袋に詰めていると高田彩華が「それ持ってくの?」と聞いたのでうなずいた。 「あーなんかどうでもよくなってきた。山口さんに服をプレゼンしてもここにはあたしが思う服ないし」  呆れた彼女は店を出て歩き出す。私は急いでドラッグストアに立ち寄り睡眠薬を取ってから彼女の後を追いかける。彼女はベッドのある家へ行きコンビニで買ったウイスキーを飲み始めた。  喉を鳴らし美味しそうに二本目を開ける。 「やっぱさー。あいつらから金もらうときって最高何だよねー。この前もちょっと胸寄せて見せつけて抱き着いたら谷間に札入れてくれたしー。あいつ借金してるくせにあたしにみつぐとか馬鹿だよねー」  ごくごくと音を鳴らし飲む彼女は突然そんなことを口にした。私は自分の知らない世界の話にうんうんと興味を持って聞く。 「ずいぶん前に来たやつなんか、あたしに貢ぎすぎたからかしばらく行けないとか言ってホントに来なくなるしー」  私は酔っぱらった彼女を横目に。、まだ明けていない酒に睡眠薬に二錠入れ渡す。彼女はそれを飲み干したのでもう一本同じように睡眠薬を入れ渡し彼女が飲む。  数分すると高田彩華はうとうととし、目をつむり眠りついた。  私はさきほど買った服をハサミで切り、細長くロープ状にし高田彩華の両足に結び付ける。  それだけでは引っ張って動かすのは困難なため、コンビニのバックヤードに置いてあった台車を引っ張ってくる。  動かす前に念のため両手をふさぐ。足のほうから台車に乗せるが、やはり力の抜けている体は重く私はめいいっぱい力を出し動かす。  何とか腰まで乗せた。足を結んだときに余った部分を、台車の持ち手にきつく結びつけ後は上半身を乗せる。頭部が少し台車からはみ出しているが、ぶつからなければ問題ない。  台車でお風呂がある家まで運ぶ。途中起きたらその場で殺すしかなくなるが、幸い彼女はすやすやと眠っていた。  風呂場まで運ぶ。お湯を沸かす。私は最後の一仕事だと気合を入れ、台車と彼女の足を結んでいたロープをほどき足を持ち何とか湯船に入れる。  その作業で大分疲労したが、やり遂げたい気持ちで踏ん張る。腰まで何とか漬からせることが出来たところで小休憩をする。  湯船から垂れている彼女の上半身。お湯がどんどん溜まっていく。いい加減そろそろ起きてしまうだろうと思い、最後に彼女の上半身を思いきり湯船に投げ入れる。 「…!ん’’……ごふっ!」  お湯に顔が漬かったからか彼女が気が付く。  気が付いた彼女はパニック状態だ。無理もない。酒飲んで気分良くなって寝たと思ったら、お湯が張った湯船の中。  私は素早く彼女の頭を押さえつけ沈める。もごもごと水を含んだ声を上げるがかまわない。  もう少し……、もう少し……。 暴れていた彼女の動きが止まる。と同時に私は高揚した気持ちを抑え息と脈を確認する。  息も全く聞こえない。脈もない。  それが分かると同時に一気に私の中に私の胸の辺りに気持ちよさを感じた。  もう二度と戻らない高田彩華と過ごした時間。短い間だったが楽しかった。  それを失った悲しみという喜び。
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