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「気にはなったけど、僕は人間の死体には興味がなくてね。あれは君が殺したのかい?」
片桐は恐れることなく私に尋ねる。私はうつむき目に涙を浮かべながら否定し、怖くて黙っていたと言った。
「そうか、あれ、あそこに置いたままだと風呂使えないしどうしようか?その辺に埋めとく?」
自分から埋めようと言い出す必要がなくなり、その提案に乗り二人で協力して高田彩華の死体を埋めることにした。
スーパーの片隅に売っているスコップを持ち死体のところへ行く。
近くで改めて匂いを嗅ぐと、鼻が折れ曲がりそうな臭いで私と片桐は顔をしかめる。
両の手のひらを顔の前で合わせ合掌。
死体は私が運んだときのように台車を使う。私は外に先に穴を掘りにいった。
スコップなのでかなり時間はかかるだろうと思いながらも手を動かす。
今片桐を殺しても正直あまり高揚感は得られないだろうが、あとで一人で移動させたり穴掘るのはめんどくさいのでついでに片桐とのお別れを考えた。
「つ、疲れた……。やっぱり僕は体力仕事は向かない。どうだい穴のほうは?」
そこそこ時間が経ったころに、高田彩華の死体を乗せた台車を押してきた片桐がいう。
休憩を提案すると片桐は賛成しコンビニへ行く。
「あーくそ、こうしてる合間に商品が……」
商品棚を見るとお弁当もお茶も眠気覚ましもきれいに置かれなおされていた。
身を投げ出すように椅子に座り息を思いきり吐き出す。
しばしの休憩のあと私は先に穴掘りを再開した。
もくもくと掘り進め幅一メートル、深さ二メートルを掘り終えた。それの穴の横にもうひとつ、同じように穴を作る。
「どうしたんだい?穴は一つで十分だろう」
「片桐さんは気づかなかったんですね。動物の死体……」
とそこまで言ったところで片桐は言葉をさえぎり、どこにあるのか私の肩を強くつかみ聞いてくる。
私は穴を掘り終えたら教えると言い手を動かす。
それまで片桐はうかれたようすで鼻歌なんか歌っている。意外と聞きわかりのいい人だと思った。
私が掘ってる間、片桐はできた穴のほうに高田彩華を放り入れ、土をかける。
もうひとつの穴を掘り終え片桐を穴の近くに誘導し、遠くを指で示し片桐の視線を私からそらした。
そのすきに、コンパクトにしまっておいた死体を風呂場に運ぶときに使った布切れを片桐の首にかけ渾身の力でしめる。
「うっ……、ぐっ……」
片桐は苦しさを訴える声を上げるが、私はかまわず力を込め絞める。
やがて声を上げることもなくなり片桐は膝から崩れ落ち背中をへの字のように曲げ動きが止まる。。
私が確認するため片桐の横にしゃがむと、がっと目を見開いた片桐に足首を掴まれた。まだ息があったのか、油断した。
後方に倒れそうになったが何とか地面に手をつき態勢をすばやく立て変える。
片桐が立ち上がろうとする前に、私は近くに置いてあるスコップを取りそれを片桐の後頭部めがけ一気に振り下ろす。
「うっ……」
片桐は先ほどよりか細い声をあげた。私はこんばんは度は油断せず何度も何度も殴りつける。
好きになりかけた人がいなくなる。そう考えただけで笑みがこぼれる。
最後に片桐の足を折った。
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