告白

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秋の文化祭。 3年生は受験があるから自由参加で。 私は友達に誘われた、有志でホットドッグ屋をやるグループに参加して。 まさか、そこに遼太くんがいるとは思わなかったよ。 そういうのやりたがらないって聞いてたから、本当にびっくりした。 いざ始まってみたら、3週間で準備しなくちゃいけないのに、皆塾やら何やらって理由つけて全然やらなくて。 でもそんな中、遼太くんだけは黙々と作業してた。 いつも、そうだったよね。 誰も見てすらいない教室の鉢植えに水をあげたり。 日直が消してない、前の授業の黒板を消したり。 皆が嫌がる係を普通に引き受けたり。 「すっ!鈴木くん。私は…何を手伝えばいい、かな?」 「あ…じゃあ、神崎さんは…看板に色を塗ってほしいな。」 「あ、うんわかった。えっと、ペンキペンキ…」 「ペンキはあっちの、掃除ロッカーの横。ない?」 「あった!じゃあ塗るね、ここ緑だっけ?」 久しぶりの会話。 なのに、案外普通な遼太くん。 でも、嬉しかった。  本当に。 結局、ほとんど2人で準備してさ。 サボってた皆が、申し訳ないからとかなんとか言って、当日の店番とか良いとこ取りだけされたよね。 それでも、遼太くんは何も言わずに裏でホットドッグを作ってて。 あの時だと思う。 私が、遼太くんへの気持ちに気づいたの。 …やっぱし嘘。 もっと前から、気づいてたよ。 たぶん。 っていうか、なんであの時文化祭参加してたの? 聞いても遼太くん、「気分。」しか言わなかったし。 私、信じてないからね? また、いつか。 喋ってくれる時が来たら、教えて欲しいな。
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