告白

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もう手紙も5枚目終わっちゃうね、長くてごめん。 でももう少しだけ、付き合ってほしいな。 実は、私ね。 高校から九州の高校行くんだ。 お父さんの実家が福岡にあって、転勤で家族皆、そっちのおばあちゃんちに引っ越すことになったの。 明日にはもう引っ越しのトラックが来て、終わり次第東京を出ちゃうんだ。 だから、地元の高校には行けません。 周りの友達にも黙ってたから、これを知ってるのは遼太くんだけ。 ここまで書いててなんだけど…私、今まで遼太くんなんて呼んだことないよね。 書いてる時、書いてるだけなのに凄くドキドキしてました。 でも本当は…声に出して呼びたかったよ。 りょうたくん、って。 遼太くん。 私は、遼太くんのことが好き。 大好きです。 もっともっとお喋りしたかった。 水族館とかショッピングとか。 デートもしてみたかった。 手を繋ぐとか。ぎゅってするとか。  キスとか。 遼太くんとなら、してみたいって思ってたんだよ? それで私も、「唯」って、下の名前で呼んでもらいたかった。 …女の子にこんなこと言わせるなんて。 遼太くんは、たまに意地悪だよね。 でも。そんなとこも、大好きだよ。 明日、14時30分東京駅発の新幹線に乗ります。 一応、荷物を載せるのはお昼頃に終わるから、ご飯食べてから行くのかな? これからお互いに別々の道を進むけど、遼太くんならきっと素敵な人生が待っていると思います。 高校生、大学生、社会人になって。 私なんかより、可愛くて優しい彼女さんを作って。 きっと、幸せな家庭を作ってくんだろうな。 …なんか嫉妬しちゃうけど。 正成高校の制服姿、見たかったぞ。 遼太くんがこれからも、幸せでありますように。 最後に、もう一度。 遼太くん。 大好きです。 神崎唯より
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