悠星

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「あなた、悠人と話してた子ね?」 「はい。寺の跡継ぎです」 「そう、なの?」 「あなたを救いに参りました」 「え?あなたが?」 「そうです。悠星さんには内緒にしてます。俺だと不安に思われるみたいで」 「そう、わかったわ」 「早速ですが、おばあ様に言われ続けた言葉がありますね?」 「ええ。住職にも言われたわ」 「それは自己都合です。世間体を気にするあまり、孫を傷つけて、あたかも自分は普通の人間を装っている」 「装う?」 「ええ。強い言霊が使えることに、気がつかないふりをしています。お父様もお母様も寿命は短かかったのは、おばあ様のせいです。お父様もお母様もアルビノ同士で子供を持った。それは、変異なものを増やすから恐ろしく感じた」 「そんな…言葉だけでそんなことが?」 「はい。おそらく、お母様を責め立てたのではないでしょうか…。マーシーさんは、優秀なので、どうせならお金を搾取しようと考えた。だから、大学を卒業するころを死期にした、のかもしれないです」 「…そんな」 「これは、憶測でしかありません。ですがどうか、悠星さんのために、これからも生きて下さい」 「もちろんよ。私子供がまたできたの」 「…え、そうなんですか?」 「そう。まだ生きる理由がある」 「そうですね。息子さんもいらっしゃいますから」 すごい、たくさんの記憶。死を何度も意識して、生きてきた。この記憶の中に、悠星さんがいた。まだ若い悠星さんが、マーシーさんにしきりに話しかけていた。 寿命が短いから、マーシーさんと結婚したわけではない。悠星さんは、道に迷っていた。 自分を活かせなくて、苦しんでいたんだ。寺は継ぐ気なんて全然ないけど、跡継ぎのことで悩んでいた。 それを、マーシーさんは見つけた。 死期を気にしつつも、誰かの役に立ちたい。そんな彼女の気持ちが伝わってきた。 その強い心でないと、飲み込まれてしまいそうな強い言霊だ。彼女自信が強くあることで今まで抑えられてきたんだ…すごいや。 俺は、1人だったらたぶん…どうすることもできなくて、二度と帰れなかったかも。 どうか、幸せになって下さい。 暗闇の中から、帰還した。 目を覚ますと、目を閉じる前と同じ光景だが…。住職は、ちゃんと儀式やってくれたかな。
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