肥後さん

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肥後さん

「あの、もしかして山本さん?」 嘘。学校の誰とも会わないように昼間に行動してたのに、ちょっと遅くなったから会ってしまったー。誰なの? 「なにしてるの?こんな時間に」 それはこっちが聞きたい。 「ちょっと、病院…」 帰る途中なのよ。 「そう。スポーツって怪我するから大変ですよね。夏休みに勉強会できなくてすみません」 あ、この人…確か市川くんが先生にと連れてきた人?肥後(ひご)さんと言う女子高の女の子だったような。なんとなく都会的でおしゃれなのかな?と思ってたけどいまひとつ違ったという印象を受けた人かも。 「あ、いえ…」 「市川くんの連絡先しかしらなかったの。連絡なかなか取れなくて、大会とか合宿で勉強どころじゃないって言われましたけど、やっぱり勉強大事ですよ?」 「そうですね…」 「私はまぁ、そんなに勉強しなくても復習みたいな感覚でできますけどね」 「すごいですね」 もう帰りたいなぁ。 「また勉強会しましょうよ。市川くんは引っ張ってこないとだめそうですよ?今度は山本さんが主催で」 「すみません…私学校辞めました」 「え、怪我ですか?…あー、推薦ですもんね。スポーツできないと価値とかないですもんね。勉強もできないですから」 この人、市川くんといるときと態度が違う。なんだか、かなり上から目線で攻撃してくる。 田舎者でしょ?通院のためにまだこんなとこに?バカじゃん? う…皮肉な人だ。私がなんでここまで言われないといけないのか。
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