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「…紗絵ちゃんは、嬉しくないかも」
「どうして?」
「俺が、まともじゃないから。雪乃ちゃんのことも、好きじゃないし。どうせ、子供の面倒見れないって言われちゃうよ。俺、仕事もできないんだもん」
「雷さん。お姉さんの言いなりにならなくていいんですよ?」
「でも、俺は紗絵ちゃんがいないと迷惑かける」
「迷惑かけてなにが悪いんですか?雷さんは、好きなようにしてください。姉も好きなようにしてますよ?勝手なやつですから」
「好きなように、できるのかな」
「俺は、雷さんの弟になるんですが、面倒見てくれますか?刑務所に入って迷惑な人間ですが」
「迷惑じゃないよ」
「だったら、雷さんはもっと迷惑じゃないです。自由にして欲しいです」
「どうやるかわかんない」
「一緒に考えましょう?もっと、たくさん…あなたはなんでもできますよ。俺だってなにもできなかったけど、寺の仕事してますから」
「そうなの?」
「約束します。あなたを守ります」
どうか、雷さんが子供を作れますように。
自分みたいな人間が、迷惑だなんて思わないで。
俺の兄なんだ。
家族に見捨てられて、姉もそうなのに、それなのに大事に思ってくれてる。
「どうか…幸せになって下さい」
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