言霊

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言霊

「誰?」 そう言いつつ、ドアを開けてくれた。義兄(あに)(らい)さんだ。姉の旦那である。 「あれ?」 「こんにちは、お忙しいところすみません」 「雪見(ゆきみ)くん!」 道をあんまり覚えてなかったけど、嫁のみるくが覚えてて教えてもらった。気になることがあったから、どうしても話をしなくてはならなかった。 「姉とは喧嘩してしまいましたが…雷さんと話をしたくて」 「そーなの?嬉しい!中入ってよー」 とても気さくで、優しい人だ。 「その服なに?変なの」 「寺の服です」 作務衣(さむえ)というジンベエみたいな服だ。楽だし、ほぼこの格好になりがち。デニムとか持ってるけど、修行あるし着替えがめんどくさくて、今はほぼ作務衣。昨日この家に来た時は、病院だったから作務衣を着てなかったかも?珍しく。 部屋は昨日よりも散らかっていた。散らかしたのは姉の雪乃(ゆきの)だろうな。だらしないやつだから。 「寺?って?」 「お坊さんのいるところです」 「へー?お坊さんなの?」 「違います。キャバクラのボーイです」 「えー!?キャバクラ!?すっげー」 最初、俺もなんかすごいと思った。けど思ってたのと違ってきついし、借金返済のために働いてる。
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