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まものさんこんにちは(改)
いざ動き出そうとしたそのとき、奥の方でなにかが動くのを感じた。その影はどんどんこちらへ向かってくる。
第一村人か!
おーいおーいこんにちはー
ダーツの旅のものですー
取材よろしいですかー?
キシャーー!
キシャー? 何だキシャーってまるで人間じゃないみたいじゃないか。ずいぶん声真似が得意なんですね。そう呑気に考えているとその影の全貌が見えた。
そうそれは人なんかではなく凄まじくでかい芋虫だったのだ。
汚れた白の体にいくつかの点が刻まれている。芋虫の顔の真ん中には無数の歯が這えた口があった。
やばいやばいやばいやばいやばいやばい
しぬしぬしぬしぬしぬしぬしぬしぬしぬしぬ
急いで俺は岩陰へ走り隠れようとした。遅い足を振り絞りなんとか走り抜いた。幸い芋虫はこっちのことを気づいていないようだ。
5分ほど息を潜めていると(息なんてしてないが)芋虫はのそりのそりと遠くに消えていった。
な、な、な、なんですかあれは!化け物か化け物なのか! あんなのに食われたら丸のみじゃあないですか。
俺の7、8倍はあるんじゃないか? ほんとに信玄餅みたいにつるんって食べられそう。
記憶もない、出口もない、食料もない、化け物はいる。
あれ詰んだ? うん詰んだわ。俺の異世界人生はここで終わるようです。記憶にないお母さん、俺を育ててくれてありがとう。
いやいやいや、終わらせんよ。死にはせんよ。どうにかして解決せねば。一番優先して取り掛からなくちゃいけないのは食料と出口だ。
俺もいつかあんなのに勝てる立派なスライムになりたい。てか勝てないとこれから生きていく自信ない。あれを倒すのが一番の目標やな。
ご飯なんかみたことがない。今は中華が食べたい気分だなー
今のところ食べられそうなものなんて一つもない強いて言うならさっきの芋虫。食べられそうって言っても俺がだけど。
あんまし小動物とか見たことないんだよなー。もしかして……あの芋虫が最小サイズだったりする?
その場合俺どんだけ小さいねん。前世の芋虫が10センチぐらいかな? そすると俺は、、1、2cm!?なんと言うことだ…
小さいとかレベルじゃねーぞ! 1センチはもうハエぐらいのサイズなのよ。えーまじかーハエサイズかー。指でぷちっとされるううう!
一寸の虫にも五分の魂ってほんとだったのか、、虫さん今までぷちっとしてごめんなさい。一応言っとくけどぷちっとしやすい虫さんが悪いんだよ。
しかしお腹減ったな。ご飯食べたい、、
取りあえず散策するかー
ばったり鉢合わせたら嫌なので芋虫がきた方向と逆に体を向け、
俺はまた放浪の旅へと繰り出した。
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