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つよいてき よわいおれ
そして戦いは始まった。敵は一人で切れ味の悪い包丁。こっちはフル武装の三人プラス分体。勝てないわけがない。って思ってた。
いやいやいやいや! おかしいって! 何あの動きぬるぬるしてて気持ち悪い。あとなにあの武器。切れ味の悪い癖にすっごい耐久力あるじゃん。
「ああ。この武器ですかあ? 気になりますよねえ。この2本は思い入れがありましてねえ。ずっと使ってたら魔剣になっちゃいましたあ」
えっとたしか魔剣って大量の魔力とか血とかを吸って進化した剣のことだっけ…?
どうやらこの世界の物にもステータスがあって進化も出来るらしい。ファンタジーやなあ。いやーすごい世界だなあー
はっ! 現実逃避してた!
「でもなんとなく動きが読めてきたっすよ」
そう言えばそうだね。でもねゴブン。それはフラグなんだ。
「じゃあ魔法もつかってみまあす」
ほーら言ったじゃん。
「スラさんは岩の分体だして! スランは酸のチャージお願い!」
ノドクは持っていた包丁を前につきだすと魔法が展開した。
俺の分体で防ぎきれると嬉しい。魔法は水魔法だった。
水はレーザーのようになりながら俺たちを襲った。しかし俺の盾が防ぐ。
あっぶな。俺の分体は二つ犠牲になったがなんとか防ぎきった。
「これで止めっす! フレアフィスト!」
後ろで何やらやっていたゴブンが飛び出し、拳を振るった。
その拳は炎を纏っており、炎の龍のように見えた。
そしてそれは当たった。しかも腹のど真ん中に。致命傷に見えた。しかしそこまでだった。ノドクは痛みを叫ぶでも助けを求めることもしなかった。変わらず張り付けた様な笑顔をしていた。
「ん? あ、刺されてる。おっと。いたい!いたい!いたい!」
いやいや。どう考えても演技やろ。もしかしてこの人痛覚無いの?
「ほいやっ」
そんな力の抜けた掛け声と共にノドクはゴブンの腹にナイフを刺した。
「いってぇえええええ!」
ゴブンんんんんん! 死ぬなああああ!
「ふうやっと抜け出せたあ」
ノドクはゴブンの手が引き抜かれると軽く肩を回した。腹からは血が溢れている。
「えっとおゴブンさんでしたっけ? ちょっとよく見てくださいよお」
「いってえええ。死んだっす。もうこれは死んだっす。あぁばあちゃんの顔がみえる……今行くっすからね………あれ? 血が出てないっす」
あ、ほんとだ。どういうこと?
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