一、

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 その日、セフレの男にドタキャンされてた私は、偶々見掛けた男に声を掛けたんだ。  恐ろしい程の端正な顔立ちに見つめられたら、吸い込まれてしまいそうな漆黒の瞳からは目が離せない。 「女の抱き方なんか分からねー。」  ....堂々と告白する童貞。  こんな美形が⁉︎なんて目を疑ったが、ホテルでいざ行為に及ぼうとした時、私に触れる指先はぎこちなくて.... 「いいよ、私が気持ち良くしてあげる。」  性行為(セックス)の快楽は、一度味占めたら病み付きになる。  そんな私の一方的な価値観を押し付け、その男の童貞を奪った。 「いきそうになったら言ってね。」 「ぅっ、わかんねー、けど、出そうな気がする。」  本物の(うぶ)だった。男だったら皆、必ずしも抜いたことあるんじゃないの?  仰向け姿の男を見下ろしながら、歴然とする経験値の差にクスッと笑みを浮かべた。  腰を浮かせては振り下ろす。私のトロトロになった中で、男は初めての経験を得たのだ。 「今日はありがとう。...またね。」  初体験に意識が朦朧とする男をひとり残して、お先にホテルからお暇する。  またね。なんてあり得ないんだけどね。  何処の誰かも知らない美男子(イケメン)くん。 「......。」 (さよなら.....。)
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