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さぁ、どうする? おじさん。あなたは身の潔白を証明する闘いに身を投じ正義を貫くのかな? それとも形ばかりの謝罪で、今ある幸せを護ることを選ぶのかしら? おじさん、選ぶのはあなたよ。私の胸は、おじさんの人生を左右する、一世一代の選択、究極の決断が下される瞬間を前に、身体の芯から興奮が込み上げてくる。
おじさんは、土下座でも何でも、何でもします! 何でもしますから赦してください! と言うと、私の足元に突っ伏し、生え際が随分と後退した額を床に擦りつけながら、冷たい視線を投げかける私に向け頭を下げ、謝罪の言葉を何度も口にした。しらけた気分を晴らすために、私はホームからこちらの様子を伺っている女子高校生へと目線を向ける。彼女の固く結ばれていた口元が緩むのを確認したのち、私はおじさんを赦した。
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