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今日も、早朝の電車内は通勤通学客でごった返している。すし詰め状態の電車内は、揺れよりも人いきれで酔ってしまいそう。毎日、鼻腔を刺激するオーデコロンでバリアを張り合い、お互い牽制しているつもりになって、自分の吸う空気さえも濁らせている。そんな、おじさんたちの集団は、さしずめ殺気立った民族移動のよう。
苦虫を噛み潰したように顔を顰め、眉間の皺は深まるばかり、そんな自分の顔を鏡に映す度に、不愉快の澱が心の奥底深くに沈殿してゆく。毎日、はち切れんばかりに不満の風船を膨張させ続けている。なのに、通勤圏内ギリギリに買った郊外の建売マンションは、あと二十五年もローンが残ってるし。のびのびと育てたはずの息子は高校を中退して、今ではフリーターをしながら、仲間たちとのびのび夜遊びに明け暮れて。娘は、教師と不倫でしょ。知らない振りしているけど気が気じゃないのよね。そして、人生を共に闘い、切り開いてきた唯一の同志である妻の態度さえも、近頃ではよそよそしさを感じ始めているんだよね。
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