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常識的にみれば、世の中のことなど何も知らない小娘である私は、乗り合わせていたおばさんと共に駅舎内の事務所で事情を説明することになった。危うく死にかけていたおじさんは意外としぶとくて、しばらく呼吸を整えた後に駅員さんに伴われ駅舎へと連れてこられた。心臓が強くて良かったね、おじさん。心の中で、そう呟いた私は、今では顔面蒼白となったおじさんとの再会に口角が上がった。
一通りの説明を終えたおばさんは、私に「弱気になっちゃ駄目よ!」と、ひと言いい残すと、意気揚々と肩を上下させながら会社へと向かった。
おばさんはああ言ったけれど、私が被害にあったわけでもないし、今では小さくうなだれているおじさんに恨みがあるわけでもない。そもそもこのおじさんが痴漢なのかさえも私にはわからないのだ。電車内の人達が勝手に判断して、おじさんを痴漢に認定したのだから。
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